利用規約、約款の作成

2016年7月4日

利用規約といえば、スマートフォンのアプリやウェブサービスの利用といった1対多の契約には欠かせないものです。

特に、当事者同士の交渉によって締結する一般的な契約と異なり、多数の利用者すべてに画一的に適用される契約となりますので、リスクやトラブル回避という点において、通常の契約以上に留意が必要となるものです。

個々の相手方に合わせた契約内容ではないからこそ、契約の締結や契約期間中においてどのようなリスクが想定されるのかを慎重に検討し、それに対してどのように応じるのかを明文化する必要があります。

新たなアプリやウェブサービスのリリースを予定しているベンチャー企業などは特に、しっかりとした利用規約の作成をお勧めいたします。

また、個人の技術者でもウェブサービスをリリースすることも増えてきました。
個人であれば尚更トラブル対応に費やす費用と時間は避けたいものです。そのために、専門家とともに利用規約を作成することにはメリットが大きいはずです。

誰も見ないから重要ではない?

アプリやウェブサービスに限らず、例えばパソコンのソフトウェアや携帯電話の契約などでも利用規約や約款といったものが存在しますが、それを隅々まで読んでいる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

長々と書かれた利用規約は、なかなか読もうとは思いませんし、また実際読むのも大変です。

しかし、だからといって利用規約を作らなくても良いわけではありません。

利用規約が無いということは、利用者との間で合意した事項がほとんど無いということになります。
これでは、サービスを運営していく中で発生する様々な事象に対して対応の指針が存在しないことになり、それがトラブルへと発展してしまうことは容易に想定されます。
例えば、違法ではありませんがサービスの性質上利用者にはやって欲しくない行為(例:ロゴ作成サービスで作ったロゴを他社に販売している、マッチングサービスで事業者サイトを通さずに利用者同士で連絡を取り合う、等)を利用規約にて予め「禁止事項」として定めておくことで、利用者に対して「禁止事項に挙げられている行為はできない」という一定の制限を与えることができますし、同時に「解約条件」を定めておくことで、それを根拠に禁止事項を行った利用者を解約させるということもできるようになります。

また、事業者と利用者との合意が無ければ、様々な対応は法律の規定に従うことになりますが、それでは事業者にとって不利な場合というのも存在します。
例えば、先ほどの例で挙げた「ロゴ作成サービスで作ったロゴを他社に販売」している者に対して、個別に警告してサービスを解約しても、異なる情報で何度もユーザー登録して同様の行為を続けているような場合、法的手続にて警告したいこともあります。
その場合、利用規約にて管轄裁判所を合意していれば、自社の住所を管轄する裁判所に提訴できますが、そうでない場合、法律(民事訴訟法)の規定により被告の住所地を管轄する裁判所へ提訴しなければなりません。
被告の住所地が遠隔地であれば、そこまで出向く必要があることから、そのための費用負担というのは不利益ではないでしょうか。

消費者との契約

また、アプリやウェブサービスの利用規約の場合、契約の相手方となるのは一般の消費者であることが多いかと思います。
その場合、企業間の取引のように契約書の内容が尊重される場合と異なり、消費者保護のための法律が適用されます。

その結果、利用規約の内容によっては、一部の条項が無効と判断されることも少なくありません。
これでは、せっかくのトラブル回避や自社の利益保護のために作成した利用規約であっても、その役割を果たせなくなってしまいます。

優秀なアプリやサービスであっても、利用規約の不備によりアプリ等の運用に影響が出てしまうのは、大きな不利益へと発展してしまう危険があります。

このように、利用規約の作成については、企業と消費者との契約の際に適用される法律や裁判例について熟知している必要があり、それらを十分に検討することが不可欠となります。

他社のコピーで良いのか?

次いで大きな問題となるのが、他社が提供している同種のサービスやアプリの利用規約をそのまま、あるいは一部のみ変更する形で流用しているケースです。

もちろん、先行する他社の利用規約を参考にすることはよくあります。
似たようなアプリやサービスであれば、利用規約に記す内容は似てくるのは当然ですし、長く運用されているサービスであれば、その利用規約の内容から”見えないリスク”がわかることもあるためです。

ただ、どんな場合でも参考にしたり流用したりして良いわけではありません。

先述の通り、消費者との契約である場合には、消費者保護に関連する法律等を理解した上で利用規約に反映されている必要がありますが、他社の利用規約がそのようになっているとは限りません
これでは、他社が抱える潜在的なリスクをそのまま受け継ぐことになってしまいます。

また、他社が制作したものと同様のアプリやウェブサービスであっても、機能等詳細まで全く同じものではないはずです。
そうであれば、他社の規約を流用することで、そのアプリやサービス間の差異または流用後に変更した箇所について、見えないリスクの火種が生まれているかもしれません。

さらに、他社の利用規約を流用するという行為自体も、その規約が表現(記述)内容によって著作物であると認められた場合に、著作権(複製権または翻案権)の侵害とされることも考えられ、損害賠償を請求される危険もゼロではありません。

報酬額

アプリやサービスを利用するために費用が必要がどうかで基本料金が変わります。

利用料が無料のサービス等 ¥25,000~
利用料が有料のサービス等 ¥40,000~

※表示価格は税別表示です。別途消費税を頂戴いたします。