意外に難しい「的確に伝わる表現」


2020年7月1日からレジ袋が有料化されました。
それ以降、マイバッグを持っていてレジ袋を買わないと考えている客が、会計の際に店員との間で

店員「レジ袋はよろしいでしょうか?」

客「はい」

このようなやりとりが行われた結果、商品がレジ袋に入れられて渡された(もちろんレジ袋代も追加されている)、なんていう話があるようですが、これは聞く側(店員)も答える側(客)も、互いに相手方に誤解を与えかねない表現(※実際に誤解を与えたと思いますが。。。)をしたために生じた悲劇かもしれません。

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相手に確認し、または答える必要があるのは、レジ袋が「必要」なのか「不要」なのかですので、これを的確に伝えなければならないわけです。

店員としては、「レジ袋いりますか?」という意図で聞いたのだと思いますが、「よろしいでしょうか?」と「いりますか?」がイコールであるとは限りません。
もちろん、店員自身の中ではイコールだったのだと思います。しかし、客は違ったようです。

必ずしも一意であるとは限らない

このように、自分の中では一意(意味が確定している)であるが故に、当然に他人もそうだろうと考えてしまうことは多々あると思います。

例えば、先日もFacebookの某グループで次のような出来事を目にしました。

そのグループでは、全国の人が参加しているグループであるため、飲食店を紹介する投稿には「都道府県名」と「店名」の明記が必要であり、これが明記されていない場合は管理人が投稿を削除するというルールがあります。
しかし、とある投稿では、都道府県名が記されずに「○○ 中野本店」という店名のみが記されていたため、管理人により投稿が削除されました。
すると、その投稿の投稿者が

「中野といえば東京都だとわかるのに、削除するのはなぜか」

といった趣旨の反論をした、というものです。

私は東京在住ですので、中野といえば、「中野サンプラザ」や「なかのZERO」があり、JRと東西線の駅である中野駅が存在する、東京都中野区中野が最初に思い浮かびます。
投稿者も同様だったのだと思います。

しかし、実際には”中野”という地名は全国に多数あります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/中野#地名
つまり、「中野」イコール「東京都中野区中野」ではないのです。

※地域の特定性よりも、そもそも”都道府県名”を記すことがコミュニティのルールであるため、削除対象となるのは致し方ないとは思います

受け取る者によって理解が異なる場合も

他にも、このような例があります。

下記記事がそうなのですが、着目するのは記事本文ではなくタイトルです。

文言としては特段おかしな点はないのですが、どうやら本来の意図とは異なるように解釈したという方が見受けられました。

タイトルの意図としては、「女性が非科学的な物事を信じることについて、女性と男性とで比べた場合、男性よりも女性のほうが”直感”を信頼しているため、女性が非科学的な物事を信じるのだという研究結果が出た」ということになると思います。

しかし、これを「女性が信頼するのは、”男性”よりも”直感”である」、つまり”男性”と”直感”とを比較して、男性が言うことよりも自分の直感重視だ、と理解したようです。

双方の思考とも「女性は直感を信頼している」という点は変わらないと思いますので、大きな問題はないでしょうけど、後者のほうは誤解であり、このような誤解が大きなトラブルに結びつく危険性はあると思います。

似たような似ていないような事例として、次のようなものもありますよね。
以前Twitterで話題になっていた「頭が赤い魚を食べる猫」です。

同じ文言でも、解釈によって全く異なったものになってしまいます。

誤解を与えず、一意になるように

このような異なる解釈を生んでしまうと、様々なトラブルに発展してしまう場合もあります。
ウェブサイトや雑誌、ブログなどに掲載する文章もそうですし、契約書や利用規約なども同様です。

特に契約書や利用規約においては、法的な問題を気にされる方が多いと感じていますが、実際には法的な問題以上に契約の相手方などとの間で合意した内容、ビジネスの目的やゴールなどを的確に反映し、異なる解釈を生まない一意な文書であるかどうか、という点もとても重要になってきます。

できるだけ、正確に、丁寧に、そしてわかりやすく。
契約書や利用規約などを作成するときは、常に留意することが求められます。


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