掲載するだけでは意味がない?利用規約やサイトポリシーを制定する際に気を付けたいこと


様々なサービスを提供したり、ブログやホームページを運営するにあたって、利用者や閲覧者に対する”利用上のお願い”や”ルール”を定めたい場合もあると思います。

定める内容としては、やってはならないことや、運営上の免責(責任を負わない)などが多いかと思いますが、こういったルールは「利用規約」や「サイトポリシー」といった文書で掲載することが一般的だと思います。

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掲載するだけではほぼ意味がない

それでは、特にECサイトではない一般的なホームページや、ブログの利用・閲覧に関して利用規約を定めたい場合、どのようにするのが良いでしょうか?

「利用規約」という文書(ページ)を作って、フッターなどにリンクを設置しておけば大丈夫でしょうか?

実は、このように”単に掲載しているだけ”では、ほぼ意味がありません

これは、ホームページやブログの閲覧者に対して、掲載している利用規約やサイトポリシーといった文書の内容に従わなければならないという「拘束力」を発生させることができないと考えられるためです。

契約に必要なのは文書ではなく承諾

では、なぜ拘束力が生まれないのでしょうか?

それは、閲覧者がその利用規約に従って利用するという意思をもっているかどうかがわからないためです。

「利用規約」というタイトルの文書であっても、あくまでその内容は利用規約を制定した者と閲覧者との間に発生する契約(ルール)について書かれているものです。

そして、契約である以上、申込みに対して相手方が承諾したときに成立するのが原則です(民法522条1項)。

つまり、単に利用規約というページを用意していただけでは、契約の成立要件である申込みと承諾があったことがはっきりしません。
「利用規約」というページや文書を用意することが重要なのではなく、利用規約に従って利用するという申込みとそれに対する承諾の存在が重要ですので、これらの存在がはっきりしていなければ、契約の成立もはっきりせず、その結果、契約への拘束力が生まれないことになります。

そもそも、フッターに利用規約ページへのリンクが存在したとしても、そのリンクに気が付かないこともあるでしょうし、また気付いたとしてもわざわざそのリンクをクリックしてページを見ようとは思わないのではないでしょうか。
そうなりますと、どのような内容が利用規約として定められているのかを知らずにブログやホームページを利用しているケースが多く、少なくとも閲覧者側にとっては申込みも承諾もどちらも行っていないことが多いと考えられます。

よって、例えば閲覧者が利用規約の内容に違反した場合であっても、閲覧者としては「そんな規約知らない!」ということであればそもそも契約が成立していないわけですから、閲覧者に対してその違反の責任を負わせることは難しいと考えられます。

サービス利用のために会員登録が必要だったり、あるいはショッピングサイトで購入するような場合は、その手続きの中で「利用規約に同意する」旨のチェックボックスにチェックを入れないと先に進めないようになっている場合が多いですよね。

これは、「この取引にはこの利用規約が適用される」ことを明示し、それに同意した上で取引を行ったことがハッキリさせるためです。
そうすれば、実際に規約を読んで理解したかどうかはともかく、少なくとも「そんな規約知らない!同意していない!」とは言わせない、ということになりますね。

定型約款として契約に組み入れられるか?

利用規約やサイトポリシーを考える上で、先述の契約の成立要件だけではなく、「定型約款として契約に組み入れられるかどうか」も考えなければなりません。

定型約款とは、2020年の民法改正から新設されたもので、定型取引(※ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの)における契約の内容とすることを目的に準備された条項の総体と定義されています(民法548条の2第1項)。

一般的に、ホームページやブログの利用規約とは、閲覧者によって変わるものではなく画一的な利用(定型取引)に対して制定されたものですので、定型約款に該当する場合が多いと考えられます。

定型約款に該当するものであれば、
(1)定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき
(2)定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき
上記いずれかの場合であれば、定型約款の個別の条項にも合意したものとみなすとされています(民法548条の2第1項)。

つまり、(1)のような明確な合意がなくても、(2)に該当する場合は定型約款に合意しているとみなすことができますので、フッターなどにリンクを設置するだけでも良いのではないか?と考えることができるかもしれません。

しかし、ページとリンクが存在するだけでは気が付かないことも多いため、”あらかじめ定型約款を契約の内容とする旨を表示していた”とは考えにくく、また経済産業省が公開する「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和4年4月)」においても

この表示は、取引を実際に行おうとする際に相手方に対して個別に面前で示されていなければならず、定型約款準備者のホームページなどで一般的にその旨を公表しているだけでは足りない。

電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和4年4月)p28

とされていることから、上記(2)を適用することは難しいのではないかと考えられます。

よって、利用規約ページを用意しているだけでは、それを定型約款として閲覧者に遵守させることは難しいのではないでしょうか。

しっかり合意または明示を

以上を踏まえますと、利用規約への遵守を閲覧者に要求するためには、単に利用規約ページを用意するだけではなく、
・利用規約の遵守について明示的な合意を得る
・ブログやホームページの利用には利用規約が適用される旨をはっきり明示する
以上のいずれかを実行することが考えられます。

一見難しそうですが、昨今ではクッキー(Cookie)の利用についての事前同意を得るためのポップアップ表示を行っているサイトも多く、その仕組みやプラグイン、ライブラリなども公開されているため、この仕組みを転用して上記いずれかの対応をとることは比較的容易にできそうです。

せっかくルールを定めるのであれば、それをしっかり守ってもらえるようにしておきたいですね。

※上記対応を行った定型約款であっても、閲覧者の権利を制限し、または閲覧者の義務を加重する条項であって、信義則に反して閲覧者の利益を一方的に害する条項は、合意しなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)のでご注意ください。